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​令和5年9月13日(水) さいたま市議会本会議 佐々木郷美 一般質問 ~子どもの人権擁護委員会や再生資源物の屋外保管所(スクラップヤード)について~


 

1 子どもの権利を守り、育ちを見守るまちづくり

  ~子どもの人権擁護委員会の設置について~


○佐々木郷美 議員

 立憲民主・無所属の会さいたま市議団の佐々木郷美です。初めての一般質問させていただきます。お疲れの時間帯とは思いますが、しばしお付き合いのほどをよろしくお願いいたします。


 全国的に子どもの自殺は増加の一途をたどり、不登校や生きづらさを抱える子どもたちは多くおり、さいたま市も例外ではありません。我が会派の添野議員が代表質問で子どもの権利条例の制定を提案いたしましたが、この7月、会派で日本初の子どもの人権擁護、救済を目的とした第三者機関、川西市の「子どもの人権オンブズパーソン」、川西版子どもの人権擁護委員会を視察してまいりまし た。4名の相談員に、3名の弁護士や大学教授などの専門家であるオンブズパーソンが中心となって、子どもの利益を第一に20年以上にわたり続けてきた先駆的な活動から、さいたま市も学ぶこ とが多いと考え、取り上げさせていただきます。


(1) いじめや不登校等で悩む家庭の相談窓口としての第3者機関

①相談窓口を子どもが利用しやすい工夫について


○佐々木郷美 議員

 現在、さいたま市では、いじめや不登校などで悩む家庭の相談窓口で、子どもが利用しやすい工夫はどのようになされていますでしょうか。川西市の子どもの人権オンブズパーソンでは、子どもについての相談に親が来た場合でも、必ず子どもと直接面談の機会をつくり、本人がどうした いのか、何を望んでいるのか、本人の意思を大切にすることで、解決の突破口が開けた事例が多くあるそうです。


 そして、子どもたちは初対面の大人にはなかなか心を開きにくいということを理解し、相談しやすいよう、相談員とオンブズパーソンの顔写真と名前とニックネームが掲載されたリーフレット が、市内の全ての小学校、中学校、高校、幼稚園、保育園、特別支援学校に毎年4月に配布され、定期的な通信で子どもの人権オンブズパーソンとは何をしているのか、どんな相談をしたらよいのか、架空のケースを紹介しながら伝え、広報や啓発に力を入れている印象を受けました。そして、大人とは別に子ども専用の相談室が駅前にあり、じゅうたん張りでソファーがあり、リラック スした雰囲気で話せるようになっています。常に子どもの目線に立った細やかな配慮や、誰一人取り残さない強い決意を感じ、さいたま市でも生かせる部分があると感じました。


②第3者機関を設置する意義


○佐々木郷美 議員

 学校内の相談室は、人目を気にして行きにくいと思いますし、川西市の子どもの人権オンブズパーソンが、学校や教育委員会から完全に独立した市長直轄の第三者機関であったということには大きな意味があると考えます。秘密が守られる一方、本人が希望する場合には、本人の思いを関係者に伝えながら第三者として事態に介入することができ ます。例えばいじめやトラブルなどの場合、学校や先生の対応が適切でなかったりすると、心にさらなる傷を負い、学校への復帰に時間がかかり、悩んでいる御家庭が行き場を失ってしまうこ とが往々にあります。事態が深刻化してから第三者委員会が設置されても、失った時間は取り戻せません。そして、現場の先生方も第三者の介入で指導、指摘が入ると警戒されたようですが、結果的には第三者が丁寧に子どもの思いを拾ってくれることにより、こじれた関係性が早期に修復され、協力的な姿勢になったそうです。


 単なる相談機関にとどまらず、子どもたちの声から浮かび上がってきた学校の組織的な課題を総括して、毎年教育委員会に提言しているのも、このオンブズパーソンが果たしている重要な役割です。また、いじめや不登校に限らず、学校外の人間関係や先生や親との関係、虐待などで悩んでいるケースについても扱える、これが第三者機関のよさだと考えます。さいたま市で設置する意義について、御見解をお伺いしたいと思います。

○池田喜樹 子ども未来局長

 佐々木郷美議員の御質問の1、子どもの権利を守り、育ちを見守るまち づくり、子どもの人権擁護委員会の設置について、(1)いじめや不登校等で悩む家庭の相談窓口 としての第三者機関、①相談窓口を子どもが利用しやすい工夫について及び②第三者機関を設置する意義について、関連がございますので、一括してお答えいたします。


  議員御紹介の川西市の子どもの人権オンブズパーソンにつきましては、いじめ、差別、体罰、 虐待などで苦しんでいる子どもたちを助けるために、市の条例でつくられた公的第三者機関であり、 全国で最初に設置されたものでございます。ふだん子どもたちの身近にいる家族や学校の先生とは違った立場で子どもの話をしっかり聞いて、子どもにとって一番よい解決方法を子どもと一緒に考え、手助けを行っていると伺っております。


 本市におきましては、いじめや不登校などの悩みを抱えるお子さんやその保護者に対応するため、教育相談室や児童相談所の児童いじめ相談、子ども家庭総合センターのなんでも子ども相談窓口などの相談窓口を設置するほか、毎日24時間相談できるさいたま市24時間子どもSOS窓口 や、さいたま市SNSを活用した相談窓口を設置し、子どもたちがいつでも相談しやすい環境づくりを行っております。また、例えば現在子ども家庭総合センターでは、子どもたちの遊び場に面し た相談窓口を設置しており、気楽な語らいの中で相談できる雰囲気づくりなど、相談者が利用しやすい工夫をしております。


  また、市立学校におきましても、児童生徒や保護者が相談しやすい雰囲気をつくるため、地域の方や保護者に配布する広報紙にスクールカウンセラー等の写真を掲載したり、相談室のインテ リアを温かみのある色使いにしたりするなど、学校の実態に応じて工夫を凝らしております。議員御提案の子どもの目線に寄り添った気軽に相談できる環境づくりは、非常に重要であると考えておりますので、引き続き取組を進めてまいりたいと考えております。


 それらに加え、相談者の中には、学校や教育委員会などへの相談をためらう事情がある方もいると思われることや、学校とは関係のない権利侵害を受けている場合もあることから、議員御提案の第三者機関による相談機関を設けることは、子どもの権利を守る上で重要なことであると認識しております。しかしながら、本市におきましては、既に埼玉県が子どもの権利に関する第三者機関である埼玉県子どもの権利擁護委員会を、本市を含んだ全県域を対象として設置しております ことから、二重行政を避ける意味からも、県の委員会の周知PRに積極的に協力するとともに、 役割分担を意識しながら、市の相談機能の充実強化を図ってまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、悩みを抱えた子どもたちがどこに相談したらいいか迷わないように、そしていつでも相談できるよう、引き続き埼玉県とも連携し積極的に制度の周知に取り組んでまいりたいと考えでございます。

○佐々木郷美 議員

 御答弁ありがとうございます。 いろいろ工夫していただいていて、いろいろな相談窓口があることは、セーフティーネットと して重要なことだと思います。また、さいたま市の教育行政へのフィードバックを受ける意味で第三者機関があるという意味では、さいたま市独自にそのような機関があることの意味もあると思いますので、県と連携していくのか、独自に考えるのか、その辺りも今後検討いただければと思います。 次の質問に移らせていただきます。


 

2 大人が自分の強みや専門性を発揮し、活躍するまちづくり

  ~学校図書館司書の役割りについて~


〇佐々木郷美 議員

 さいたま市の学校図書館司書は、他市では複数校兼務が多い中、規模を問わず小中学校168校に全て1人ずつ配置されていて、子どもたちの豊かな読書活動を支えていただいており、感謝しております。同時に、勤務の在り方としては、現状は非正規の会計年度任用職員であると認識しております。今年5月31日、日本図書館協会が全国の知事、市長、区長に対して異例の要望書を出し、記者会見を開き反響を呼びました。全国の公立図書館で、この15年間で正規職員の割合が4割から2割に減ったことを受け、図書館司書の専門性に見合った処遇を訴えるものでした。さいたま市の学校図書館司書の先生の専門性がさらに生かされて、学校教育の質の向上に一層貢献していただくために、以下お尋ねいたします。


(1) 研修や職員会議への参加について


○佐々木郷美 議員

 学校図書館司書は個人職場で、自助努力だけだとスキル アップの機会が限られます。学校図書館司書には、教育委員会主催の研究会や研修会、情報交換の場などがどれくらいありますでしょうか。そして、それらに業務時間内に参加できる形になっておりますでしょうか。また、先生方の授業のサポートなど、教育情報センターという学校図書館の役割を考えたとき、他の先生方との連携、学校の課題の共有も必要であり、時に職員会議に参加できることも重要だと考えますが、現状はいかがでしょうか。 あわせて、不登校のお子さんが学校に戻りたいけれども、教室に入るのが難しいとき、保健室登校のように図書室登校がステップになるという居場所機能もあり、やはり他の先生方との連携は必須だと思います。


(2) 働く意欲につながる勤務のあり方


○佐々木郷美 議員

 そのような図書館司書の先生方の役割を考えたとき、 現状の1日6時間、週4日、1週間24時間、1年契約というパートタイム的な勤務の在り方は適切なのかと疑問に感じます。大学で司書の資格を取って社会に出た若い方にとっては、将来的な キャリアが描けず、目指せる職業とはなりません。給与面でも、それだけで生活はできない。あるいは生活のためにはダブルワークが前提となります。私のほうに学校図書館司書の先生から、もっと勤務時間が長かったらやりたい業務がたくさんあるが、今は限られた時間内なので、手をつけられずにいるという声も届いております。


  例えば、全ての方がというのは難しいかもしれませんが、マンモス校などはそもそも1人では 仕事が回らないというお声もあるので、マンモス校だけでも現状から1日増やして、1日6時間掛ける週5日勤務の図書館司書を配置いただく、あるいは行く行くは1日8時間、週5日のフルタイム勤務の司書を配置していくなどの検討の可能性はありますでしょうか。また、図書館司書の仕事をなるべく継続いただくように、1年ごとの採用の際に、今までの実績が評価され、重視されるような形にはなっておりますでしょうか、お願いいたします。

○栗原章浩 副教育長

 佐々木郷美議員の御質問の2、大人が自分の強みや専門性を発揮し、活躍するまちづくり、学校図書館司書の役割について、(1)研修や職員会議への参加についてお答えい たします。


 本市では、学校図書館教育における司書の役割が大変重要であると考え、学校規模にかかわらず、全ての市立学校に学校図書館司書を配置しております。また、学校図書館司書が専門性を高めることは、充実した読書活動を通じて児童生徒に豊かな感性を育むことにつながるため、学校図書館の活用が始まる年度当初の平日午前中に1回、教育委員会が主催する研修会を開催してお ります。本研修会の内容でございますが、学校図書館教育の推進を担う司書業務の理解を深めることを目的に、読書活動の充実を図る学校図書館づくりや、公立図書館等の外部機関との連携等について説明しております。また、本研修会において、中学校区を基本としたネットワークを構築することで、1人職である学校図書館司書が情報交換を通じて専門性を高めたり、さらに新任の学校図書館司書に対しては、図書館の運営に活用するコンピューター操作の説明を実施し、スキルアップを図っております。


 次に、学校図書館司書が様々な教職員と連携することにつきましては、児童生徒の主体的な学習活動を支援する学校図書館の機能を果たす上で、大変重要であると考えております。職員会議に参加して情報共有を行うことが大切であると考えておりますが、職員会議の時間帯に児童生徒が図書館を利用している学校もございますので、その場合は学級担任や図書館業務を担当する司書教諭との対話や資料の共有等、日常的に連携を図るようにしております。今後、学校図書館司書が一層活躍できるよう、オンデマンドなどICTを効果的に活用し、自分のペースに合わせて研修ができる環境や、校内で連携する体制の好事例等の共有に努めてまいります。


  次に、(2)働く意欲につながる勤務の在り方についてお答えいたします。学校図書館司書の業務内容は、司書教諭の補完的な業務を担うこととされており、現状は週4日、1日6時間勤務で ございます。一方で、大規模校など学校によっては、学校図書館司書の勤務時間数を増やしてほ しいという要望もございます。そこで、各学校からの要望を把握するため、勤務時間数等見込み調査を行い、こちらは本人の意向を踏まえながら対応しているところでございます。 また、学校図書館司書の継続勤務につきましては、会計年度任用職員の規定により、再度の任用を連続4回までできるものとしておりますので、これまでの実績を重視した任用が最大5年間まで可能となっております。また、それ以降につきましても、公募による採用を経た場合は、継続して勤務することも可能でございます。


 今後も他市の状況に注視しながら、働く意欲につながる勤務の在り方について研究するとともに、学校図書館司書が自分の強みや専門性を発揮し、一 層活躍できるよう支援してまいります。

○佐々木郷美 議員

 御答弁ありがとうございます。 本当に読書活動は、子どもたちの言葉の発達、ひいては情緒の発達、安定にもつながる非常に大切な活動だと思いますので、中長期的に学校図書館司書の先生が専門性を積み重ねられて、目標を持って仕事に取り組んでいただくことが、子どもたちの学びに還元されると考えます。ありがとうございます。 では、3番に移ります。


 

3 困った時にケアされる安心・安全なまちづくり

  ~災害への備えについて~

(1)水害時(洪水時)の避難場所について



佐々木郷美 議員

 近年では水害リスクが年々高まり、先日8月24日 付日経新聞によると、大雨の頻度は30年で約2倍、水害リスクの高い市街地の人口は増加傾向にあります。さいたま市でも地震時に避難する指定緊急避難場所276か所のうち、水害時に浸水想定区域となって使用不可になるのが77か所、そして45か所が1階は水没し、2階、3階以上のみの使用可能になるという避難場所がございます。つまり水害時125か所の避難場所は、何らかの影響を受けることになるというわけです。


 さいたま市では、最寄りの避難場所が使用できない水害リスクの高いエリアに住む方は、避難が必要になる場合には、遠くの安全な避難場所に事前避難するという広域避難が進められており、 移動が間に合わないときのみ近隣避難場所の2階、3階へと垂直避難する方針となっています。 例えば所沢市では、商業施設やホームセンターなどと協定を結び、立体駐車場などの高い場所に 一時避難できる体制づくりを急いでいます。さいたま市でも広域避難が間に合わないときのため、 水害時の緊急避難場所の候補を増やすことは重要だと考えます。さいたま市でも進めていらっしゃると思いますが、民間、公共施設との協定締結の進捗をお伺いしたいと思います。 また、現在避難生活を行う指定避難場所の二次避難場所としてコミュニティセンターが指定されておりますが、緊急避難場所の二次避難場所としての利用は可能でしょうか。さらに、広域避難時の避難先や立体駐車場など、応急的な緊急一時避難場所の情報はどのように災害時周知され るのでしょうか。


(2) 避難所での性的少数者等への配慮と協力体制について


○佐々木郷美 議員

 指定避難所での共同生活は、性的少数者など要配慮者にとっては多くの困難を伴います。まず、性的マイノリティーの方への配慮について、内閣府が2022年に調査したところによると、避難所運営マニュアルに記載があった市町村は14%にとどまったそうですが、さいたま市では記載があるかどうか教えてください。 また、相談窓口という設置の意味では、研修を受けて性的マイノリティーの方に理解がある方が、虹色バッジなどをつけて避難所運営に関わって、相談しやすい雰囲気をつくる方法もあるようです。


 同様に高齢者、障害のある方、乳幼児、妊産婦などの要配慮者の方については、こちらは先の津和野議員の質問でも触れられましたので、簡単にお伝えしますが、福祉避難所が設置されておりますが、先のお話にあったように妊産婦、乳幼児向けの福祉施設はまだ設置されておりません。また、設置までに今のフローでは3日ほどかかるということですので、それまでの間、要配慮者の方々は避難所内の専用スペース、もしくは公民館などの優先避難所で過ごすことになり、そちらには専門のスタッフや設備がないという状態で、3日間過ごさなければならない ことが想定されます。 その際に、例えばですが、地域にお住まいの方の中で、医療、介護関係者や保育士、薬剤師な どエッセンシャルワーカーの方がいらっしゃったら、サポートを名乗り出ていただき、要配慮者からの相談に乗ってもらうなど、避難所運営に協力、参画いただけるつながりを平時からつくれると、共助の柱になり、非常時に大きな力になると感じます。お考えを伺います。


○伊達雅之 総務局長

 佐々木郷美議員の御質問の3、困ったときにケアされる安心安全なまちづく り、災害への備えについて、順次お答え申し上げます。 初めに、(1)水害時(洪水時)の避難場所についてお答えいたします。


 大規模水害時におきましては、浸水想定区域外への広域避難を原則としております。しかしながら、広域避難のいとまがない場合の緊急的な避難に対応するため、一部校舎の上層階を緊急避難場所としており、令和4年度には埼玉大学を新たに指定するなど、避難場所のさらなる充実に努めているところでございます。 議員御指摘の商業施設につきましては、大規模洪水時において、広域避難を行う際の駐車場の確保を目的として活用しているところでございます。


 また、コミュニティセンターにつきましては、一部の避難所に避難者が集中すると、避難者の受入れが困難な場合の二次避難所として位置づけており、緊急避難場所には指定しておりません。民間及び公共施設ともに洪水時の緊急的な避難場所として活用するためには、施設上層階への円滑な誘導や物資の配布のための職員の配置、 必要物資の備蓄など、一定程度の要件を満たす必要があるものと考えているところでございます。 しかしながら、近年、豪雨災害が激甚化、頻発化しており、大規模水害時の避難場所の確保は重要であると認識しておりますので、他自治体の事例も調査しながら適切な避難場所の確保に努めてまいります。


 また、災害発生時には、全ての市民に対して避難情報や避難所及び駐車場の開設状況等が、確実に伝わることが重要であると考えております。そのため、防災行政無線、SNS、防災アプリ 等のほか、電話やファクスへの配信など様々な媒体を活用し、迅速、正確な情報発信が可能となるよう努めているところでございます。


 次に、(2)避難所での性的少数者等への配慮と協力体制についてお答え申し上げます。災害時に性的少数者を含む要配慮者を避難所で受け入れる際には、その特性を理解して配慮することが必要となります。また、避難所は多くの避難者が限られた空間で共同生活を行う場となることか ら、プライバシーも含めた避難所生活のルールを確立していくことが重要となります。そのため、 男女のニーズの違いや性的少数者への配慮について、避難所運営マニュアルに記載するとともに、 避難所運営委員会におきまして、平常時から要配慮者への配慮も踏まえた避難所のレイアウトや 運営方法等について協議を行っていただいております。性的少数者への具体的な配慮につきましては、みんなのトイレの利用や誰もが使用できるトイレの設置及び更衣室利用に関する工夫などを行うこととしております。


 次に、避難所における避難者同士の協力体制についてでございますが、避難所を円滑に運営するためには、避難所運営委員会の構成員となる地域住民も含めた避難者の協力が不可欠となります。要配慮者に対する配慮が適切に行われるよう、避難者の中に介護や医療、保育などの専門的知識を持つ方がいる場合には、広く協力を求めながら運営を行いたいと考えております。引き続 き性的少数者を含めた全ての避難者が安心して避難所生活を送ることができるよう、避難所の生活環境の向上に努めてまいります。

○佐々木郷美 議員

ありがとうございます。 次に移らせていただきます。


 

4 上質な生活都市を維持するまちづくり~再生資源物の屋外保管(スクラップヤード)に関する条例について~



佐々木郷美 議員

 こちらは、さいたま市内外の再生資源物の 屋外保管所、いわゆるスクラップヤードの写真ですが、各種メディアでも話題になり、また議会でも何度か取り上げられてきましたが、廃棄物ではなく有価物の扱いで今まで規制する法律がなく、 市街化調整区域中心にその数が増加してきました。上質な生活都市と期待してさいたま市に移り住んだにもかかわらず、ある日突然このようなヤードが立ち、昼夜問わず営業を始め、日々騒音、 振動、粉じん、悪臭、火災リスク、交通状況の悪化などに悩まされ、ノイローゼになったり体調 を崩したりと、このようなことがさいたま市内のヤード近隣で起こっています。 そこで、さいたま市が国に先駆け、千葉市、袖ケ浦市に続き全国で3例目に許可制とすべく、12月 の条例制定に向けて動いていただいていること、大いに評価し、期待しております。


 こちらが先日示された条例案の骨子ですが、事業者、土地所有者、市の責務を明確にし、周辺住民への説明会の開催を義務づけ、住宅地から100メートル以上離すという立地条件、構造条件、保管条件が明記され、守られない場合の罰則も定められるとのことです。ただし、これらは今後新設のスクラ ップヤードには適用されるものの、既存の事業者には立地基準と構造基準が適用除外とあり、それでは抜本的な解決にならないとの声が地域から届いております。今年6月定例会でも、我が会派の高柳議員が代表質問で、本件における現在進行形で生じている問題の解決について尋ねたところ、「地元の方々からの要望を踏まえて検討する」との決意を御答弁いただきました。


(1) さいたまの現状と市民からの声 


佐々木郷美 議員

 そこで、さいたま市の現状をお尋ねいたします。(1)さいたま市の現状、市民からの声。さいたま市内には120から130のスクラップヤードがあると聞いています。その中で現時点で直接近隣 住民から苦情が寄せられている事業者は何か所でしょうか。その中で、住宅地からの距離が100メ ートル以内のものは幾つですか。また、先日パブリックコメントが行われましたが、何件の意見 が集まり、その中の主要な意見はどんなものだったでしょうか。

○瀧口智 環境局長

 佐々木郷美議員御質問の4、上質な生活都市を維持するまちづくり、再生資源物の屋外保管に関する条例について、(1)さいたま市の現状と市民からの声についてお答えいた します。


 本市の現状といたしましては、議員御指摘のとおり、市街化調整区域を中心に金属スクラップ などの再生資源物の屋外保管施設が数多く立地することになり、保管に伴う騒音や振動のみならず、不適切な保管による敷地外への崩落や火災の発生など、市民生活の安全に支障を来す状況が発生しております。そのため、市民生活の安全確保及び生活環境の保全に寄与することを目的とした条例を制定するに至ったところでございます。 まず、市が把握している近隣住民から市に相談が寄せられている事業所の数でございますけれども、9か所でございます。そのうち住宅地からの距離が100メートル以内の事業所は、9事業所全てとなります。 次に、6月26日から7月26日に実施したパブリックコメントですが、正式には11月に結果を発表する予定であり、現在は集計中のため、数字が変わる可能性もございますが、提出された意見 は268件でした。その主な内容といたしましては、既存事業所から発生する騒音に悩まされている現状についての意見が最も多く、次に既存事業所にも適用となる条例を制定してほしいとの意見を数多くいただいたところでございます。


(2) 既存の事業者に対して、市が考えている対策は


○佐々木郷美 議員

 9事業所が全て100メートル以内ということで、こちらはさいたま市内の幾つかのヤードの航空写真になります。こちらのヤードの100メートル以内をおおよそ囲ってみましたが、やはり住宅地、しかもある程度密集した住宅地が近くにあるのを見ていただけると思います。こ の観点で、近隣住民の生活環境をどう守るかが、さいたま市の条例制定において重要なポイント だと思います。その観点で、住宅地から100メートル以上という立地基準も十分なのかどうか疑問があります。 実際には200メートル以上離すべきだと考えます。また、既存事業者には、簡単にみなし許可を与 えるのではなく、経過措置を与えて全ての基準を満たすよう求める、あるいは少なくとも努力義務を求めるなど、上質な生活都市にふさわしく政策的に誘導すべきだと考えますが、いかがでし ょうか。さいたま市としてさきのパブリックコメントの声を受け、既存事業者に対して考えている対応策をお聞かせください。

○瀧口智 環境局長

 佐々木郷美議員御質問の4、上質な生活都市を維持するまちづくり、再生資源 物の屋外保管に関する条例について、(2)既存事業者に対して、市が考えている対策についてお 答えいたします。


 まず、住宅地等から100メートル以上離すべきという点についてですが、住宅からの距離については、騒音対策の観点から設定いたしております。粉じんや火災等の飛散については、この後説明いたします。騒音規制法では、住宅が多い地域の規制基準は45から55デシベル以下となってございます。現在、騒音で問題となっている事業所について、100メートル離れた地点の騒音を実際に測定したところ、規制基準以下でございました。具体的な数値で説明いたします。事業所の敷地境界で規制基準値を大きく超えた65デシベルであると仮定すると、音の性質上100メートル離れた地点では20デシベル下がった45デシベル、200メートル離れた地点では26デシベル下がった39デ シベルとなります。よって、100メートルと200メールを比較すると、6デシベルしか変わらず、また100メートルの距離でも騒音規制法の規制基準以下となることから、住宅等からの距離は 100メートルとすることが適切であると判断いたしました。


  次に、粉じんや火災等の飛散等の対策、また既存事業者に経過措置を設け、条例の全ての条件を満たすべきという点についてですが、策定中の条例では、既存事業者については一定の経過措置期間を設けた上で、保管基準、具体的には保管場所における囲いの設置、保管する高さ、排水設備の設置などについて適用を検討しております。この保管基準を満たすことにより、保管物の崩落や飛散、また保管に伴って生じた汚水の飛散、流出、地下浸透や火災の発生、延焼を防ぎ、 市民生活の安全及び生活環境の保全を確保できるものと考えております。 一方で、保管基準のみの適用で本当に市民の生活の安全及び生活環境の保全が確保できるかとの近隣住民の方々からの御指摘があり、またパブリックコメントでも多くの同様の意見をいただいたところでございます。こういった御意見も踏まえまして、平穏な生活環境の確保のためにも、騒音規制法や振動規制法に準じた規制基準を、施行規則に定めることを新たに検討しております。 加えて、条例案では既存事業所に対しては適用除外としている構造基準の一部、具体的には安 定した排水を放流する排水処理設備設置の適用についても検討しており、市民の皆様の声を聞きながら、より実効性の高い条例の制定を目指しております。

○佐々木郷美 議員

 排水について基準に入れていただけるということで、周辺に田畑があるヤー ドも多いですので、それは意味があると思います。少しでもこのように適用する基準を広げていただく努力を、引き続きお願いしたいと思います。 また、先ほど施行基準とおっしゃっていただきましたが、既存事業者の中でも特に住宅から 100メートル以内にある9つの事業者に関してだけでも、運用面で構造基準の2メートル緩衝帯を造らせる、あるいは囲いで囲むだけではなくて、頑丈で防音機能がしっかりと備えられている塀の設置を義務づけるなど、基準を定めて安全性を確保することが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○瀧口智 環境局長

 佐々木郷美議員の再質問にお答えいたします。 緩衝緑地帯の設置につきましては、新規事業者に対する構造基準とする予定でございます。全ての既存事業者への義務づけは、立地面からも困難だと考えておりますので、緩衝緑地帯設置と 同程度の効果が得られるよう、施行規則においてより厳しい保管基準を検討いたします。 また、頑丈で防音機能がある塀の義務づけですが、事業所ごとに立地環境や作業方法が異なると思いますので、騒音規制基準の施行規則を定めることによって、生活環境の保全に努めてまいりたいと思います。そのため、規制基準を満たす対策を事業者に求めていく中で、防音機能のある塀を設置することになる事例も出てくるかと思っておりますが、いずれにいたしましても施行 期日で定める規制基準を超えないようしっかりと指導していきたいと考えてございます 。

○佐々木郷美 議員

 それぞれの事業者ごとに対応を考えるということでしたけれども、それでは近隣に住まわれている住民の方々は納得しないのではないかというか、納得いくような施策を考えていただくことが大事かと思います。住民への説明会のほうは、こちらは既存事業者に関しては免除となりますでしょうか。

○瀧口智 環境局長

 佐々木郷美議員の再々質問についてお答えいたします。 現在、予定しております内容では、新たな設置で既存の事業者については、まだ適用とはなってございません。

○佐々木郷美 議員

 すみません。確認させていただきたいと思います。 義務ではないということではありましたけれども、それでは住民の方が望まれた場合は、説明会を開催する必要はありますでしょうか。

○瀧口智 環境局長

 ただいまの再々々質問についてお答えいたします。 現状、指導の中で、事業者と住民の方との話合いの場を設けるよう事業者側にも指導している ところでございます。 〔何事か言う人あり〕

○佐々木郷美 議員

 ありがとうございます。 もう一度確認させていただきたいと思います。住民への説明会の開催は事業者に義務化されていないと、既存事業者に関してはおっしゃっていましたけれども、それぞれの事業者ごとに必要な対応すると御答弁いただきましたので、住民が求める場合の話合いの場は必要だと思いますが、 御見解を伺いたいと思います。

○瀧口智 環境局長

 再々々質問についてお答えいたします。 現在も事業者の指導の中で、住民との話合いの場につきましては求めているところでございますが、今のところ条例の中で強制力もございませんので、指導という中で事業者、住民の方と了承の上、その場が開けるように鋭意努力しているところでございます。

○佐々木郷美 議員

 ありがとうございます。 お答えが変わらないようですので、例えばですが、袖ケ浦市のほうは既存事業者に対しては、 周辺住民に対してこのような事業するという告知文を出すというか、そのようなことが求められるようになっておりました。規則の中でとおっしゃっていましたので、その辺りもう少し明確にお願いしたいと思います。 では、最後、(3)に移ります。


(3) 国への働きかけについて


〇佐々木郷美 議員

 このようなスクラップヤードが増えた原因は、 2018年に中国がスクラップ輸入を禁止したということが一因だそうです。今後、国が国全体とし て日本の再生資源物処理をどうするのか、しっかりとした議論するべきだと、さいたま市からも求めていただきたいと思います。御見解を伺います。



○清水勇人 市長

 佐々木議員御質問の4、上質な生活都市を維持するまちづくりの(3)国への働きかけについてお答えしたいと思います。 再生資源物の屋外保管に係る騒音等被害の課題は、本市のみならず、広域的な課題となってお ります。条例違反による罰則については、地方自治法によりまして、その上限が定められております。一部の悪質な業者に対する、それだけでは十分な抑止力につながらないというおそれもございます。また、環境破壊への対応も含めた再生資源物事業の在り方についても、議論を深めて いくことが必要な時期に来ていると認識しております。埼玉県をはじめ、同じような問題を抱え ている他の政令指定都市と情報共有を図りながら、法整備の必要性について検討し、必要があれば、国にもしっかりと要望等していきたいと考えております。

○江原大輔 議長

 以上で、佐々木郷美議員の質問は終了いたしました。



※さいたま市議会のホームページより、録画がご覧になれます。

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