令和7年6月17日(火) さいたま市議会本会議 佐々木郷美 一般質問 子どもの育ちを見守るまちづくり~いざという時のための備えをした安全なまち
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- 6月17日
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○佐々木郷美議員
立憲民主・無所属の会さいたま市議団の佐々木郷美です。
議長のお許しをいただきましたので、 通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
1.子どもの育ちを見守るまちづくり
~誰ひとり取り残さないインクルーシブ教育の推進について~
(1) 特別支援教育を基本に据えた教育施策の一層の充実を
まず、誰一人取り残さないインクルーシブ教育の推進について取り上げます。
近年、小中学校にて配慮や支援を必要とする児童生徒の増加と、障害の重度化・多様化により特別支援教育は転換点にあり、より一層の推進、充実が求められています。
さいたま市も小中学校の特別支援学級の在籍児童数は増加傾向で、特に自閉症・情緒障害特別支援学級の児童生徒は5年で2倍となりました。
また、国が実施した令和4年通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査では、知的発達に遅れはないものの、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は、 小中学校で8.8%、 高校では2.2%でした。
「ケーキの切れない少年たち」の書籍にあるように、一見問題行動に見える行動の背景には、 発達や認知の課題が潜んでいることもあり、そのような課題を放置することなく
その特性に合った環境を整え、適切な対応を取ることがクラス運営の鍵と言えます。
埼玉県戸田市では、障害のある子もない子も誰もが学校を楽しい、学校に行きたいと思えるクラスづくりを目指し、特別支援教育は教育の原点という理念を掲げ、筑波大学が効果測定を、民間事業者がツール・教材開発で携わり、産官学連携でインクルーシブな学びを進めています。
モデル校では、積極的行動支援と多層的学習支援という多角的なアプローチで個別最適な学びを推進し、授業が分かりやすく楽しくなったと学習面で効果があっただけでなく、トラブル対応の時間が大幅に削減し、 先生方の負担も軽減したと成果が上がっております。
本市の取組にもなると考えます。
さいたま市でも、 市立小中学校全校に特別支援学級が設置され、通級指導教室も毎年拡充され 数が増えています。
それら特別支援学級や通級の専門性の向上を図り、そのポテンシャルを十分に引き出して
通常級でのクラス運営や授業改善にもつなげるべく、 特別支援教育を基本に据えた教育施策の一層の充実を図っていただきたいと考えますが、教育委員会のインクルーシブ教育へのお考えを伺います。
○竹居秀子教育長
佐々木郷美議員のご質問の1.子どもの育ちを見守るまちづくり~誰一人取り残さないインクルーシブ教育の推進について~ (1) 特別支援教育を基本に据えた教育施策の一層の充実をについてお答えいたします。
議員ご指摘のとおり、特別支援教育は教育の原点であり、多様なニーズに応じた支援が当たり前になるように特別支援教育を推進していくことは、 非常に重要であると認識しております。
本市では、これまで障害や特性のある児童生徒が個々のニーズに応じた学びの場を校内で柔軟に選択できるよう、特別支援学級の全校整備や通級指導教室の拡充に努めてまいりました。
このような教育環境の充実により、各学校では特別支援学級の児童生徒が通常の学級で一部の学習を共に学んだり、通常の学級に在籍する児童生徒が一部の学習を特別支援学級で学んだりする取組が積極的に行われております。
さらに、運動会や文化祭等、 学級や学年の枠を超えた様々な教育活動を通して、子どもたちの交流も活発に行われ、障害の有無にかかわらず、子どもたちがともに成長していく姿が実現しております。
教育委員会といたしましては、誰ひとり取り残すことなく全ての子どもの強みや可能性を最大限に引き出し、自立と社会参加に必要な力を育成するとともに、障害のある子どもと障害のない子どもがあらゆる違いを超えて、多様性を尊重し、支え合いながらともに学ぶ教育の実現に向けて引き続き全力で取り組んでまいります。
○佐々木郷美議員
ご答弁ありがとうございます。
次に参ります。
⑵ 保護者等向け学習機会の充実
また、課題のある子どもたちの支援には、保護者の協力と理解が不可欠であり、学校と保護者が同じ方向性を共有して子どもに関わるには、保護者向けの学習機会の充実も必要だと考えております。
総合療育センターひまわり学園でのペアレント・トレーニングや子ども家庭総合センターでの支援者向けインクルーシブ子育て講座などを行われてきましたけれども、どれも就学前のお子さんや障害のあるお子さんに特化したものが中心だったと思います。
戸田市では、毎年10から15名の小学校の教員をペアレント・トレーニングの指導者として養成して保護者向けの子育て学習会を実施し、子どもの褒め方、環境の整え方、指示の出し方などを教えています。
その結果、保護者、教員の連携が強化し、子どもの問題行動が改善したり、保護者の抑鬱、教員の自己効力感の向上などの成果が明らかになりました。
就学後も教員と保護者が同じベクトルで子どもの育ちを見守るべく、 教員及び保護者への学習機会の必要性についてお尋ねいたします。
○竹居秀子教育長
佐々木郷美議員のご質問の1の(2) 保護者向け学習機会の充実についてお答えいたします。
議員ご指摘のとおり、教員と保護者が子どもの障害についての理解を深め、 共有することは、共通した方針の下で子どもを支援することにつながりますので、子どもの成長にとって大変意義あることと捉えております。
現在教育委員会では、教育、医療、保健、福祉、労働の専門機関と連携、協力し、特別な教育的支援の必要な児童生徒に対し、適切な相談支援を進めるために、さいたま市特別支援ネットワーク連携協議会を設置しており、各学校は必要に応じてその専門機関から講師を迎え、教職員が子どもと保護者への支援方法や、よりよい環境への配慮等について学ぶための研修を実施しております。
今後につきましては、教育の専門職としての立場から、子どものサポートをする教員と子どもの一番の理解者である保護者が子どもの支援の方向性を共有し、子どものよりよい成長を促すことができるよう、両者がともに学習する機会の意義とその方法等について、各種研修を通して周知してまいります。
○佐々木郷美議員
ありがとうございます。 ネットワーク連携協議会などを通じて検討していって
いただけるということなので、ぜひよろしくお願いいたします。
⑶ 言語聴覚士・作業療法士等の専門職の活用
次に進みます。 専門家の活用についてです。
奈良県では、通級指導の充実のために、今年度からですけれども、言語聴覚士を常勤で3名採用して、奈良市内の小学校に配置しています。
また、岐阜県飛騨市では、リハビリ専門の作業療法士が定期的に全小学校を巡回して、子どもたちの学習のつまずきをともに解消したり、リハビリやマッサージをしたりする学校作業療法室も設置されており、飛騨モデルとして注目されています。
アメリカでは、全校に作業療法士を配置するのがスタンダードだとも聞いております。
さいたま市でも、 そのような療育や発達の専門家の教育分野での活用も、ぜひ強化いただきたいと思いますけれども、お考えをお聞かせください。
○竹居秀子教育長
佐々木郷美議員のご質問の1の(3)言語聴覚士・作業療法士等の専門職の活用についてお答えいたします。
議員ご指摘のとおり、言語聴覚士や作業療法士等の専門職の活用は、子どもの生活の自立をより効果的にサポートできるという点において、重要であると認識しております。
先ほどご答弁申し上げましたさいたま市特別支援ネットワーク連携協議会の関係機関である3か所の市立療育センターに言語聴覚士や作業療法士などの専門職がおりますので、学校から要請があった際に派遣する仕組みになっております。
各学校では、子どもの日常生活や学習活動に必要なスキルの向上や、子どもの発達と行動に関する保護者や教員の相談など、 それぞれの専門性に基づいた様々な支援をいただいております。
今後も引き続き、専門職の活用により子どもたちへの適切な支援に努めてまいります。
○佐々木郷美議員
ありがとうございます。
療育センターの専門職を活用して、学校で要請があったときにということですけれども、何か問題があったときではなくて、そのような方々の専門性というのは、通常から学級づくりであったり、いろんなお子さんがいる中での授業改善というところに役に立つ知見をたくさんお持ちだと思います。
他市のように巡回をするというところまではいかないにしても、研修などのような形で組み込むことは可能でしょうか。
○竹居秀子教育長
佐々木郷美議員の再質問にお答えいたします。
現在も通級指導教室等の先生方は、そのような専門性を持った方たちに講師になっていただいて研修しているところでございます。
今後も引き続き、 そういう研修の機会を持ちまして、 通級指導教室の先生方も含め、専門性を養ってまいりたいと考えております。
○佐々木郷美議員
ありがとうございます。
まずは通級の先生からということですけれども、通常級の先生方にもそのような知見が共有されていったらいいなと思います。
⑷ 特別支援学校の児童生徒との交流や共同学習について
では4番に、次に行きたいと思います。
特別支援級のお子さんたちは、通常級の方と日常的に交流があるかと思うんですけれども、さいたま市内で特別支援学校に通う小中学生が1,086人おりまして、その中で昨年度、 居住地域の学校と交流、共同学習が体験できた児童生徒は175人だったと聞いています。
ふだんの生活では接することのない特別支援学校の児童生徒との交流、共同学習は、子どもたちにとって同じ地域で育っていく仲間としてお互いを知る機会になり、 先生同士も特別支援学校の先生から学ぶ機会となり、 インクルーシブな地域づくりのためには非常に意義ある活動だと考えます。
横浜市では、文部科学省の交流、 共同学習のモデル事業に手を挙げて、 カリキュラムマネジャーを配置して、大学と共同研究で双方にとっての学習効果を見える化し、展開しています。
さいたま市では、希望したお子さんのみの体験で数は少ないですけれども、特別支援学校側と受入れ学校、保護者ときめ細やかな調整の上で実現している学びですので、打合せの中で確認されて、具体的な配慮や工夫など事例が共有されていって、より多くの学校で生徒や保護者の参考になっていくとよいと思います。
お考えをお聞きいたします。
○竹居秀子教育長
佐々木郷美議員のご質問の1の(4)特別支援学校の児童生徒との交流や共同学習についてお答えいたします。
私も校長時代、特別支援学校のお子さんが交流及び共同学習を通して、地元の学校で仲間とともに楽しそうに学ぶ姿や、 翌年再会したときに仲間と喜び合っている姿を目の当たりにして、議員同様、本取組は大変意義あるものと捉えております。
本市の小中学校では、県立、市立特別支援学校ともに、ご希望いただいた交流及び共同学習については全て受け入れております。
議員御指摘のとおり、事前に個に応じたきめ細かな配慮や工夫の調整が必要ですので、各学校では肢体不自由児の児童生徒が一時的に体を休めることができる部屋を用意したり、児童生徒が互いの違いを受け入れたりしながらともに活動できるように、ルールや使用する用具を工夫したりしております。
今後は、このような各学校の具体的な配慮や工夫点を集約し、クラウド上で共有するなど、交流及び共同学習のより一層の充実に努めてまいります。
○佐々木郷美議員
ぜひよろしくお願いいたします。
では、次に進みます。
⑸ 子どもの育ちを見守る地域の大人との関わりを
① 生活・学習サポーター制度
特別支援ネットワークの件数を学年別に出していただきました。
御覧いただくとおり、 小学1年生が圧倒的に多いというのが分かります。
特別支援的な介入も必要ですが、特に1年生は人手を増やしてフォローする必要があると考えます。
スクールアシスタントの増員も、決して足りてはおりません。
仙台市では、15年の歴史を持つ小1生活・学習サポーター、通称エプロン先生と呼ばれますユニークな制度があります。
学校長の推薦で教育委員会の委嘱を受け、 小1以外の保護者を含む地域の方がおそろいのエプロンをつけて1年生の各クラスに入り、副担任のように担任を補佐し、子どもたちの生活や学習のサポートをします。
委託期間や時間は学校判断でありますけれども、4月からの3か月間は給食時の配膳サポートの業務が多いので、給食費が支給されて一緒に頂きます。
令和5年度は、 118校中115校がこの制度を利用して、 1,525名のエプロン先生が参加されたそうです。
さいたま市は、コミュニティ・スクールによる学校、地域、家庭の連携をうたい、スクールサポートネットワークを活用して、地域の方に登下校の見守りやスポットでの授業のお手伝いを依頼してきたと思います。そこに追加して、クラスに一時的、継続的に入って子どもたちと関わっていただくこのサポートの仕組みを、 依頼のプロセスや注意事項などを整備していただいて、 希望する学校が活用できるようにしていただきたいと提案いたします。ご所見を伺います。
○竹居秀子教育長
佐々木郷美議員のご質問の1の(5)子どもの育ちを見守る地域の大人との関わりを ①生活・学習サポーター制度についてお答えいたします。
議員ご提案の小学校1年生の学習や生活を支援する制度につきましては、児童の安心感を高め、 学校生活への適応を促す有意義な取組であると認識しております。
本市では、平成22年からスクールサポートネットワークを導入し、小学1年生はもとより
各学校の実情に応じて、様々な場面で地域や保護者の方々にご活躍いただいております。
一例といたしましては、地域の方が1年生の学習支援ボランティアとして、児童の水泳学習の補助や、まち探検の引率のほか、学習に不安のある児童に個別に学習支援をしている学校があります。
また、モーニングサポーターという取組により、登校渋りや集団行動が困難な児童を個別にサポートするために、保護者や地域の方々がボランティアとして登校時の靴の履き替えや
教室での学習準備をサポートしている学校もございます。
いずれの場合も、活動の際には子どもにも分かりやすいように、エプロンやベスト等を着用していただくことで、 子どもの安心につながるような配慮もしております。
教育委員会といたしましては、このような好事例や他都市の先進事例等を学校と共有し
学校に携わる全ての大人の力を結集して、 子どもの幸せを保障する教育の実現に努めてまいります。
○佐々木郷美議員
ありがとうございます。
個別に工夫されている学校もあるということですけども、モーニングサポーター、エプロン先生同様にぜひ研究していただいて、同じニーズのある学校はあるかと思いますので、多様な大人が関わることによって様々なニーズに対応していく、ぜひ工夫をお願いいたします。
2.困ったときにケアされるまちづくり
~高次脳機能障害の子どもたちの支援について~
⑴ 家族の交流会・相談会の開催について
では、2番目の高次脳機能障害の子どもたちの支援についてお伺いいたします。
交通事故や脳出血など、外傷や病気で脳に損傷を負う高次脳機能障害は、対応できる医療機関や専門家人材が限られ、特にそれが子どもの場合は、ご家族は子どもが生死をさまよう壮絶な体験を経て、やっと命が助かったにもかかわらず、その後、医療と教育と福祉の制度のはざまで必要な支援を得られず、長い苦悩の日々が続いています。
まず、病気の認知度が低く、当事者と家族の存在が生まれてしまいやすいので、早期に相談につなげる仕組みが必要です。
同じ病気を経験したご家族の情報交換の場として、県内でハイリハキッズ埼玉という団体が当事者家族の相談会、交流会を不定期で開催しておりますが、例えば仙台市ではこのような交流会を市の主催で年に2回行っております。
同様に、さいたま市でも相談センターなどが県や団体と共催で交流会や相談会ができると、家族会に登録するのはハードルが高いが、まずは話だけでも聞いてみようという方も含めて、より広く周知できると思いますが、ご見解を伺います。
○山﨑勝福祉局長
佐々木郷美議員のご質問の2、困ったときにケアされるまちづくり〜高次脳機能障害の子どもたちの支援について~ (1) 家族の交流会・相談会の開催についてお答えいたします。
高次脳機能障害の子どもたちの支援におきましては、同じ立場のご家族との交流が大きな支えになるものと認識しているところでございます。
そのため、本市では家族会の円滑な運営を支援するため、定例会における会場の確保や、職員による情報提供などを行っているところでございます。
今後も、高次脳機能障害の子どものご家族が集い、症状や対応方法などを学ぶことや家族間で気持ちを分かち合うことなどを通じまして、ご家族の負担感や孤独感の軽減を図ることができるよう、相談会やセミナーの開催につきまして家族会や埼玉県との協議を進めてまいります。
○佐々木郷美議員
どうぞよろしくお願いいたします。
⑵ 教育現場での切れ目のない支援のために
○佐々木郷美議員
では、(2)に進みます。
また、高次脳機能障害は、 本人が人生経験が浅い時期に、健康だったときの記憶を持ったままに中途障害を抱えるため、 勉学や友人、家族との関係性に困難を抱えて孤立し、鬱状態や攻撃性などの二次障害を抱えることも多く、復学、就学後も、進学、就労までライフステージに合わせた切れ目のない支援が必要となっております。
千葉県では、県内の特別支援学校のコーディネーターが市内小中学校復学後も学校訪問をして支援をし、20年に及ぶその経験を高次脳機能障害のある子どもの支援Q&Aにまとめて、大変実践的な内容になっております。
さいたま市でも、特別支援コーディネーターをはじめ、子どもに関わる教員向けに高次脳機能障害について正しく理解いただくことが、まずは切れ目のない支援には必要だと考えます。
必要な資料作成や研修実施をお願いしたいと思いますが、ご所見を伺います。
○竹居秀子教育長
佐々木郷美議員のご質問の2の (2)教育現場での切れ目のない支援のために、についてお答えいたします。
議員ご指摘のとおり、高次脳機能障害の子どもへの適切な支援を行うためには、この障害に関する理解を深めることが重要と考えます。
先ほどご答弁を申し上げましたさいたま市特別支援ネットワーク連携協議会の関係機関の一つに、さいたま市高次脳機能障害者支援センターもあり、高次脳機能障害に関する知見のある心理・精神保健福祉士、言語聴覚士などの職員がおりますので、学校からの要請を受けた際には、当該職員が学校に出向き、児童生徒に対する具体的な支援方法等について助言しますとともに、必要に応じて保護者へ医療や福祉等の情報をお伝えするなど、様々な支援を行っていただいております。
今後につきましては、全ての市立学校の特別支援教育コーディネーターや養護教諭等を対象にしました研修会等においても、専門的知見を持った方を講師として招聘し、高次脳機能障害の基本的な知識や支援に関する情報提供を通して、学校における理解を一層深めてまいります。
○佐々木郷美議員
どうぞよろしくお願いいたします。
実際に障害の特性を知らないために、配慮のつもりでかけた先生のちょっとした声がけが本人を深く傷つけてしまって、心を閉ざしてしまうということも往々にあるようですので、ぜひそのようなコーディネーターの先生などから始めていただきたいと思います。
⑶ 家庭と教育と福祉の連携(通学通所の移動支援)
○佐々木郷美議員
では、次に(3)に移ります。
具体的な困り事として、高次脳機能障害は短期記憶に障害があることが多いので、道に迷いやすく1人での登下校が難しいということで、 送迎が保護者にとって大きな負担となっています。
外出時、 ヘルパーが付添う移動支援を通学に利用できない自治体が多い中で、高松市が登下校の移動支援を通年利用に切り替えて、利用時間の制限もなくなったということで、通学保障の観点から重要だとメディアで取り上げられました。
高松市同様、さいたま市も早くから、通年で移動支援事業を通学通所に適用しているんですけれども、残念ながら当事者ご家族で、このことを知らない方に何名もお会いしています。
参考まで、こちらが高松市とさいたま市のホームページになっております。
上のさいたま市では、移動支援の説明に、トップのところで通学に対する文言がなく、もちろん詳細を見ていけば探せるんですけれども、高松市では、通学が困難な小中高校生における移動支援においてはと、ぱっと見てすぐに分かる記載となっております。
もちろんヘルパーさんの確保など別の問題もありますが、支援メニュー自体が当事者さんに届いていないというのが、とてももったいないことだと思います。さいたま市も分かりやすい周知と、これを機に現在月23時間の利用時間の見直しをお願いしたいと思います。
また、学校の先生方にもこの事業について周知いただき、必要に応じて先生方からもこういう支援の存在について案内できるようにしていただけたらと思いますが、ご見解を伺います。
○清水勇人市長
佐々木郷美議員のご質問の2、 困ったときにケアされるまちづくり~高次脳機能障害の子どもたちの支援について~の (3) 家庭と教育と福祉の連携についてお答えしたいと思います。
初めに、障害のある児童生徒が通学や通所などの移動する際にそのサポートを行うことは、ご本人の自立や社会参加、そのご家族の負担軽減等の観点から非常に大切だと考えております。
本市では、障害のある方の外出を支援するための移動支援事業において、通学通所の支援を行っております。
議員ご指摘のとおり、制度の周知は大変重要であると認識しております。
相談窓口での丁寧な説明、またご指摘いただきましたホームページ等での分かりやすい周知に努めていきたいと考えております。
また、現在市立学校の教職員向けに、障害福祉制度の概要の研修を実施しているところでございますので、その中で通学通所支援についても案内を行い、教育委員会と連携しながら障害のある児童を支援してまいります。
次に、月の利用時間の上限につきましては、現在でも個別の事情がある方に対しましては、必要に応じまして23時間を超えて支給決定しております。
この点につきましても、引き続き周知に努めていくことで、支援を必要とする方が一層利用しやすいものにしていきたいと考えております。
○佐々木郷美議員
ご答弁ありがとうございます。
当事者の方々にとっては、本当に生活を左右する大きな問題だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
本来であれば、探している人への情報周知だけではなく、プッシュ型でこんな支援もありますと全て示して、組み合わせていくくらいのサポートが必要だと思います。
ぜひ今後とも福祉と教育との連携という部分、よろしくお願いいたします。
3 持続可能なまちづくり~地域の食と農を守る取り組みについて~
⑴ 農業の第三者継承の仕組みづくり
① 周知と明日の担い手塾の活用
次に参りたいと思います。
農業の第三者継承についてです。
全国的に、日本の農家は高齢化と 担い手不足に悩み、新規就農希望者は農地確保や機械等の初期投資が大きくて、ゼロから始めるには高いハードルがあります。
後継者がいなくて困っている方と就農を志す方をマッチングさせて、より積極的な働きかけが必要だと感じます。
熊谷市では、農業を親族以外に引継ぐ第三者経営継承を積極的に進め、 既に4件の成功事例が生まれております。
先日視察に行きまして、移譲した方、継承された方、双方からお話を聞くことができました。
代々からの専業農家で、お子さんたちに農業を継ぐ意思がないと悩んでいた方が、IT企業を辞めて全く未経験から就農を目指していた方と出会って、 第三者継承の仕組みを使って2年間研修期間を経て、そして市や県、農業委員会、JA、金融機関などの協力を得て、田畑や機械、設備など有形資産だけでなく、生産技術や経営ノウハウ、 信用など無形資産を引き継ぎました。
就農した農家も、移譲された方も、今までのキャリアや慣例から自由になり、地域の農業も守れたと喜んでいらっしゃいました。
この成功事例がメディアで脚光を浴びまして、J Aや農業委員会の広報紙にも掲載されて、移譲希望者、継承希望者、マッチングの相談も今でも何件もの相談がありまして、研修の受入れに毎年着実に進んでいるそうです。
さいたま市では、類似の農業の第三者経営継承の事例があるのかお示しください。
もし事例があるのであれば、その事例をもっと広く周知して、第三者継承のメリットや可能性を示すことがニーズの喚起につながると考えます。
また、熊谷市では先ほどのように、就農希望者を二、三年かけて研修生として育成し、信頼関係を築いておりますが、 同様にさいたま市は、明日の農業担い手育成塾という実績ある就農者育成プログラムがあるかと思います。
その実習をメニューとして活用して、さいたま市版の農業の第三者継承の仕組みをつくっていただきたいと思いますが、ご見解をお聞かせください。
○金子芳久経済局長
佐々木郷美議員のご質問の3、持続可能なまちづくり (1) 農業の第三者継承の仕組みづくりについてお答えいたします。
まず、さいたま市における第三者継承の事例についてでございますが、新たな担い手の育成に向け、埼玉県と連携して実施しているさいたま市明日の農業担い手育成塾の令和6年度入塾生の1人が、見沼田圃で長年有機農業を営んでいた農業者の農地にて研修を行っており、研修終了後は、農地、農業機械等や栽培技術、販路など、有形無形の資産を引継ぎ、第三者継承の事例となる見込みでございます。
次に、その事例の周知と、 継承側、 それから譲渡側、双方のニーズの収集についてでございますが、本件をモデル事例と取り上げまして、本市のホームページや農業委員会など、関係機関と連携した刊行物への掲載等により農業経営の継承方法の周知を図るとともに、継承側や譲渡側の情報収集に努め、マッチングにつなげてまいりたいと考えております。
前の事また、明日の農業担い手育成塾の取組を第三者継承につなげることについてでございますが、経営譲渡を希望する農業者には、研修用農地の提供や指導農家として栽培技術の提供などにより、経営継承を希望する研修生との良好な関係を築いてもらうことで、当事業の円滑な第三者継承を促す場として活用してまいりたいと考えております。
○佐々木郷美議員
ありがとうございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
⑵ 地産地消の地域支援型農業(CSA)の推進について
では、次に進みます。
地域支援型農業と地産地消の好事例があると聞きまして、近く埼玉県伊奈町を会派で視察いたしました。
町の美しい田園風景を守るには、 農家の経営力向上と町民の消費者意識の変革、保全活動への参加が必要として、伊奈町農業戦略マスタープランの中の重点施策、環境保全型農業の推進と、その価値を認めた地元企業が適正価格で一括購入して買い支える仕組み、伊奈町産米応援プロジェクトについてお聞きしました。
地元企業は、購入した食材を社員食堂で提供して、企業イメージアップと従業員満足度につながり、農家は収入が安定し、計画的な経営が可能となりました。
協賛企業は4社ですが、 その企業からさいたま市の保育園が紹介されて、現在伊奈町産の梨が納品されているそうで、今後学校給食や飲食店などの展開も目指しているとのことでした。
さいたま市も、 環境負荷の少ない農作物へのニーズは高く、 既にオーガニックフェスなどで消費者と生産者の交流は活発だと感じます。
そこに適正価格で一括購入することで、地元農業を支える企業、組織、 施設とマッチングできると、さらによいと考えます。
既に市内の保育園で伊奈町産の梨が購入されているとおり、調理室のある施設給食として、まず市内の保育園に環境保全型の農業の地元生産者、食材を紹介し、 希望があればマッチングさせる仕組みはいかがでしょうか。
学校、企業に比べると購入単価が小さく、さいたま市は小規模農家が多いので、 供給体制を考えると現実的だと思います。
また、そのような環境に価値を置く子育て世代も多いと想像します。ご見解をお聞かせください。
○金子芳久経済局長
佐々木郷美議員のご質問の3、持続可能なまちづくりについて、 (2) 地産地消の地域支援型農業(CSA)の推進についてお答えいたします。
環境負荷の少ない農業の取組につきましては、令和6年11月にさいたまオーガニックシティフェスを開催したところでございますが、 有機農業者など環境に配慮した農業者が集い、大勢の市民が来場し、本市におきましても環境負荷の少ない農産物への関心が高まっていると感じたところでございます。
また、さいたま市農業祭などにおきましても、商業者と生産者の交流が活発に行われておりまして、このような取組は地産地消の拡大や持続可能な農業の推進にとりまして、重要かつ市民の理解と協力を深めるよい機会となっております。
しかしながら、有機農業など、環境に配慮した農産物の販路拡大につながっていない状況にございます。
このことから、議員ご提案の市内の保育園と地元農業者とのマッチングにつきましては、農業者にとりましては販路の拡大につながり、子どもたちや保護者にとりましては、市内産農産物に対する理解を深めていただくことができると考えておりますので、 市内の保育園へ環境に配慮した農業者を紹介いたしまして、マッチングを図れるよう取組を進めてまいりたいと考えております。
○佐々木郷美議員
ぜひよろしくお願いいたします。
楽しみにしたいと思います。
4 いざという時のための備えをした安全なまち~防災の備えについて~
⑴ 地域の避難行動要支援者を取り残さないために
では、最後に4番、防災について取り上げたいと思います。市の努力義務である地域の避難行動要支援者の個別避難計画の策定ですが、 私たちの会派でも何度も質問で取り上げてまいりまして、改めて進捗をお尋ねしたいと思います。
また、策定は自治会や自主防災組織、民生委員の協力で地域で進められていますけれども、それだけでは限界があり、 防災部局だけでなく福祉部局をはじめとした全庁的な連携が必要ということで、庁内会議で協議されているということでしたけれども、その進捗もお伺いしたいと思います。
さらに、障害者や高齢者で、在宅介護の方が多くいらっしゃいます。
能登半島地震では、家屋の倒壊による圧死や家具の転倒による逃げ遅れなどが死因の上位を占めておりました。
地震の際に、まず命が助かること、そして震災後も在宅避難の可能性を少しでも残すためにも、避難行動要支援者の方にこそ、改めて自宅の家具固定の徹底と、自分で工事が難しい場合は、 有料で専門家に依頼できる埼玉県の家具固定サポーター登録制度の周知を個別避難計画と同時に進めていただきたく思います。
ご見解を伺います。
○髙木泰博総務局長
佐々木郷美議員のご質問の4、いざというときのための備えをした安全なまち~防災の備えについて~ (1) 地域の避難行動要支援者を取り残さないためにについてお答えいたします。
初めに、個別避難支援プランの作成状況につきましては、各自主防災組織へのアンケートによりますと、令和7年3月末現在で1,056名分が作成されております。
作成率は、地域への事前提供にご同意いただいた避難行動要支援者名簿の掲載者3万1,889人に対して3.3%となっております。
現在、本市の個別避難支援プラン作成につきましては、自主防災組織など地域が中心となって進められておりますが、 心身の状況や居住実態等により、 優先度の高い方のプランの作成には市の支援が必要と認識しております。
今後、プランの作成のさらなる推進を図るため、 他の指定都市などの先行事例を参考に、庁内関係部局と連携しながら、市の支援による福祉専門職の参加も検討し、計画的かつ積極的に取り組んでまいります。
次に、家具の転倒防止につきましては、命を守ることはもちろん、在宅避難時の生活スペースの安全を確保するためにも重要であると認識しております。
そのため、防災課が実施する出前講座において家具の固定方法をご説明するとともに、埼玉県が実施する家具固定サポーター登録制度をご案内するなど、 自宅での家具転倒防止対策について周知啓発をしております。
今後、個別避難支援プランの作成の推進に当たりましては、 家具転倒防止対策の周知啓発も同時に進める仕組みを併せて検討するなど、引き続き災害時における避難行動要支援者の安全確保に取り組んでまいります。
○佐々木郷美議員
よろしくお願いいたします。
この施策は、災害時に支援が困難になる障害者や高齢の方を守るためにも、福祉施策としても取り組んでいただく必要があると思います。
再質問として、福祉局のお考えもこの点お聞きしたいと思います。
○山﨑勝福祉局長
佐々木郷美議員の再質問にお答えいたします。
家具の固定サポーター登録につきましては、自宅におきます防災対策の充実を図る上でも重要と考えております。
今後につきましては、総務局などと連携を図りながら、 防災に係る周知啓発が対象者へ効果的に行き渡るように努めてまいりたいと思っております。
○佐々木郷美議員
ありがとうございます。
登録制度の浸透に弾みをつけるために、 障害者や高齢者世帯に限って、条件付で工事費用に補助をつけている自治体も他市では多いかと思います。
さいたま市も、福祉政策としてご検討いただけたらと思いますので、こちらは要望しておきます。
⑵ 避難の考え方と災害時の通信環境について
では、次に参ります。
避難の考え方と災害時の通信環境ですが、 今まで避難所でのプライバシ一確保の難しさなどから、住み慣れた自宅での在宅避難が強く勧められてきましたが、能登半島地震では度重なる余震で倒壊する建物があったり、危険な家で在宅避難を続ける住民への避難勧奨に苦労した事例もあり、 在宅避難のリスクも伝える必要性が浮かび上がったと認識しております。
改めて、避難についての市の考えを確認いたします。
在宅避難時に避難者カードの提出も大切な役割を担いますが、この避難者カードも、今までも何度も議会で取り上げられてきたとおり、早期デジタル化の必要があり、そのためには併せて災害時の通信環境の確保も重要となってまいります。
能登半島地震では、低軌道衛星を利用した衛星通信回線スターリンクが設置され、緊急時に通信を確保しました。
既に埼玉県でも配備が予定されておりますが、さいたま市も政令指定都市として、少なくとも各区1台は必要と考えますが、配備についてのさいたま市のお考えを伺います。
○髙木泰博総務局長
佐々木郷美議員のご質問の4の(2)避難の考え方と災害時の通信環境についてお答えいたします。
初めに、在宅避難の考え方につきましては、自身と自宅の安全が確保できるのであれば、住み慣れた自宅での生活を続けることができるため、 有効な避難方法の一つと考えております。
一方で、過去に発生した地震でも、本震では倒壊しなかった家屋が余震で倒壊したケースもあり、家屋の倒壊など在宅避難に少しでも不安がある場合には、避難場所などへ避難することを推奨しております。
このような在宅避難の考え方につきましては、市ホームページや市報の特集ページ等で周知しているほか、市の防災アプリでも閲覧できるようにしており、引き続き市民一人一人が適切な避難の判断を行えるよう啓発活動を進めてまいります。
次に、災害発生時の衛星通信回線の配備についてお答えいたします。
避難所等における通信環境の確保は、的確な被害状況や避難者数の把握、区役所などと連携を密にした災害対策を進めていく上で重要であると認識しており、議員ご提案の地震による影響を受けにくい衛星通信回線は、有効な手段として認識しております。
一方で、通信機器の設置場所や、同時に利用できる人数の制限、導入コストや運用コストの課題もありますため、 被害想定などを踏まえた必要性や運用方法の検討が必要であると認識しております。
議員ご指摘のとおり、埼玉県が衛星通信回線を導入したことにつきましても承知しておりますが、本市といたしましては他の通信手段も含め、多角的な視点から最適な通信環境の確保を検討してまいります。
○伊藤仕議長
以上で、 佐々木郷美議員の質問は終了いたしました。



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